タスマニア紀行 付録編

 黄葉のタスマニア 

豪州固有の落葉樹はファガスのみ

日本の秋には欠かせない山々の紅葉は、豪州オセアニアではまず見られません。何故ならば、紅葉をもたらす落葉樹がほとんど存在していないからです。 豪州の代表的樹木のユーカリは常緑で、ユーカリで覆われているオーストラリアの山は年中同じ色なんですね。 最も、豪州大陸のほとんどは熱帯から温帯でもそうとう気温の高い気候帯にありますので、樹木も冬にわざわざ葉を落とす必要がないというような理由もあるでしょう。 
一方、緯度の高い当地タスマニアは冷温帯に属し標高の高い地域では降雪もあります。そしてそんなタスマニアだからこそ、オーストラリアで唯一の天然の落葉樹と言われる樹木が存在しています。これはファガスと呼ばれ、ゴンドワナ起源の太古の植物で、クレイドル国立公園などタスマニア西部の限られた地域にのみ生き残っています。
天然という意味は、外来の植物ではないという意味です。植物好きの英国の植民地オーストラリアには、入植以降 世界各地の主だった植物が多数導入されています。従って市街地や牧場地帯を歩けば移入された多くの落葉樹に出会えます。こんな外来落葉樹の代表はポプラで、毎年4月ごろにはその美しい黄葉が楽しめます。(紅葉ではありません)
今日は、タスマニアの秋を彩る代表的な黄葉ポイント2ヶ所とその見所についてお話しましょう。

ゴンドワナ起源の太古の樹木 ファガス

クレイドル国立公園の北の入り口にあるダブ湖展望台からマリオンズルックアウトに向けて登っていくと、標高1000から1100mの急峻な斜面に潅木状の落葉樹が一面に張り付いているのがわかります。これがファガス(Nothofagus gunnii)です。 豪州では唯一の天然の落葉樹、毎年4月中旬から5月初めにかけてオレンジ色に黄葉してこの時期のクレイドルのハイカーを楽しませてくれます。この樹木は、同じ属で常緑のマートルビーチ(Nothofagus cunninghamii)と共に南極ブナと呼ばれていますが、その所以は、南極大陸から化石が発見されているからなのです。同様に同じ仲間が、南米、ニュージーランドに存在しており、数億年前に存在した超大陸ゴンドワナが移動分離して現在の姿になったという、その大陸移動説のヒントになった植物とも言われています。こんな太古の植物の黄葉を見物にお越しになりませんか?
このファガスが存在しているのは、タスマニアでも西部の限られた標高の高いエリアのみ。
クレイドルマウンテン国立公園ダブ湖周辺とマウントフィールド国立公園の上部が最も容易に観察できる場所です。
ダーウエントのポプラ街道
ホバートを天然の良港とするダーウエント川は、セントクレア湖を源とするタスマニアでは3番目に長い川です。この川のr中流域に位置するダーウエントバレーは昔から有名なホップの産地です。そしてこのホップの畑を強風から守るのがポプラ並木。
広がる丘陵地帯のなかに随所ににられるポプラの木々は、秋の到来とともに美しい黄葉となります。秋の日に輝く黄金の並木道はタスマニアでも随一の風景です。タスマニアの川は護岸工事のまったくない自然なたたずまいがその特徴ですが、このダーウエントの流れも例外ではなく、ニューノーフォークからマウントフィールド国立公園にいたる街道筋はポプラそして河岸に生え広がる柳の木立が水面に張り出して本当に美しい川の風景が堪能できます。
ベストシーズンは4月の中旬。今年はイースターホリデイの真っ最中かな??

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